我が国の外国人政策は主として自治体によって展開されてきた。そこで本ページでは自治体による外国人政策として多文化共生推進プランを取り上げる。
 2006年3月、在留外国人数が200万人を突破したことを機に総務省は、すべての自治体に外国人受け入れ方針を検討するよう通知をした。これを受け全国の都道府県と市区町村では、総務省が取りまとめた「地域における多文化共生推進プラン」を雛形として、その地域版となるプランを策定することが求められた。その内容としては、各自治体における外国人受け入れ体制の整備や、NPOや国際交流協会などの外部組織との連携の強化が挙げられる。そのうえで、①日本人住民と外国人住民のコミュニケーション支援、②外国人住民の生活支援、③多文化共生のまちづくり、が重点目標とされている(高坂 2019)。また、宮城県や静岡県では多文化共生推進プランの作成ではなく、条例として制定された例もある。
 2022年4月1日時点において、多文化共生に関する指針や計画を単独で策定している自治体の数は、都道府県で19自治体(全体の約40%)、市町村および各特別区で125自治体(全体の約7%)である。内訳をみると、政令指定都市や特別区では3~4割の自治体がこれらの指針や計画を策定している一方で、政令指定都市を除く市町村の策定状況は1割程度である。その代わりに単独という形ではなく、国際化施策や総合計画の中で多文化共生施策を含めている自治体は多く存在し、以上のいずれかの形式で多文化共生施策を策定している自治体(都道府県、市区町村を含む)は全体の51%である。
 今回は2022年4月1日時点で多文化共生推進プランを策定した自治体を地図上にマッピングしたもの、1つは政令指定都市を含めた市町村および東京23区に該当する特別区、もう1つは都道府県について紹介する。

本ページの多文化共生に関する説明およびデータの整理においては、加藤志保氏(元横浜市立大学・学部生)にご尽力いただきました。ここに記して感謝の意を表します。

参考文献
高坂昌子 2019.持続可能な地方創生に向けた外国人住民施策について―新在留資格「特定技能」創設を機に求められる社会統合.JRIレビュー6(67):28-54.

市町村・特別区

 

都道府県

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