はじめに

近年、「持続可能な開発目標(SDGs)」が注目される中で、地方自治体を初めとする具体的な「地域」における取り組みの重要性が問われるようになっている。一方、我が国の全国の市区町村の多くは、少子高齢化による人口減少社会への対応という社会課題の解決を求められているが、地域の持続的発展の基礎あるいは前提となるはずの人口規模や構成あるいは属性に関する最適解は、必ずしも明らかではないであろう。国土構造を多極分散とするか、一極集中とするか、あるいは多極集中とするかなどの基本方針もいずれが最適であるか決着がついているとは言いがたい状況にある。

地域の持続的発展を牽引するアクターとしての「ヒト」は、子ども、若者、女性、高齢者、外国人などの様々な属性から構成されており、当該属性の分類ないし集計基準の調整を行なうことで、新たな地域の発展理論を生み出す者もいる。もちろん、当該属性ひとつひとつの細部においては、複雑な現象が存在しており、女性や高齢者と一口に言っても、それは多様な像を結ぶ存在であり、一枚岩ではない。そのため、精度の高い分析には、その複雑性に対応する指標が本質的には求められると言ってよい。

Local Order Indexについて

本サイトが提示しようとしているLocal Order Index(LOI)は、「地域の持続的発展に影響を与える指標」をその基礎的な部分においてまず「人口問題」系に求める。いったい、どのような属性の人口がどのような割合でベストミックスしている地域の在り方が地域の発展を促進し、あるいは地域の衰退のトリガーとなるリスクとなるのか。当該関心を説明する指標がLOIであり、指標化を目指したいと考えている。

Local Order(地域的秩序)は、法律情報を含む広義の社会規範を意図しており、特定の法制度が地域に与える影響を意図することもあれば、当該法制度を生み出す基礎となる社会実態あるいは、言ってよければ空間法則を意図している。

地域の発展理論は、ともすると右肩上がりの人口予測をどこか想定している印象を与えかねないが、本サイトは、金融や危機管理の分野などでみられる「リスク」の発想を地域の発展理論に導入する試みであり、必ずしも同じではないがUrban ResilienceやUrban Geopoliticsなどと形容される分野は、関心を共有するものと考えられる。その意味で、従来の発展理論を必ずしも否定しないし、むしろ大いに参考にしたいと考えているが、人口減少下における発展理論は、人口移動の微妙なコンテクストを大事にするという趣旨で、より慎重な発想を有すると考えられる「リスク」の発想を導入したいと考えた次第である

国際リスクについて

地域の衰退のトリガーとなるリスクは、必ずしもナショナルスケールやそれよりも下位のローカルスケールに起因するものではない。むしろ、ナショナルな文脈を越える国際スケールあるいはグローバルスケールに起因する文脈があると考えられ、当該スケールにおけるリスク認識とその認識に基づいた国や地域による国際協力や地域的対応が重要である。このようなリスクを国際リスクとして位置付け、当該リスクの認識を深化させていきたい。その深化は、Local Order Indexの部分として反映される関係を想定している。

2021年度に取り組む課題

取り組むべき課題は、多岐にわたるが、2021年度は人口減少社会への対応策のひとつとして議論されている「外国人材」の地域人口における地理的位置を特に「地理情報システム(GIS)」によって可視化する課題に取り組みたい。当該取り組みを通じて、グローバル社会における日本の人口構成の一部を明らかにすることで、社会課題解決の情報のハブの一助として機能することを願っている。

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