在留外国人の出入国動向
はじめに
2021年度に取り組んだ課題は概要の項でも述べたとおり、「外国人材」の流動動向である。我が国における外国人の流入は増加の一途をたどっている。図1は在留外国人統計(2011年以前は登録外国人統計)を基に作成した在留外国人数の推移であるが、90年代から一貫して増加していることがわかる。2009年から2012年にかけてはリーマンショックおよび震災の影響により減少しているものの、2013年以降は再び2019年までは増加している。2020年の新型コロナでの影響によるにより減少には転じたものの、2020年の在留外国人人口は1994年と比較すると倍以上に増えていることがわかる。
このように在留外国人人口は増えてはいるものの、その中身として、どのような在留目的で入国した外国人が増えているのだろうか。この点を明らかにする目的として在留資格が複雑化していることが背景にある。まず2009年の出入国管理及び難民認定法(入管法)の改正による在留資格「技能実習」の創設、ついで2014年改正では「高度専門職」の創設、2016年改正では「介護」の創設、2018年改正では「特定技能」の創設等、在留資格はこの10年ほどで大幅に増えているのである(一方で、2009年には在留資格「留学」と「就学」の統合、2014年には「技術」と「人文知識・国際業務」の統合、在留資格「投資・経営」から「経営・管理」への変更の実施等、在留資格の集約や変更点もあった。)。このように在留資格が増加した社会的背景として我が国における労働人材の不足を解消する目的として外国人労働者の受け入れをより強化する必要性が生じたためである。これに対応するために法整備の観点から多様な外国人の受け入れ態勢の強化を行ってきた。
では、これらの点を踏まえて外国人はどの国から、どのような在留目的で日本に来ているのだろうか。本プロジェクトではこの外国人の流動を明らかにするために「出入国管理統計」を用いて外国人流動の地図データベースの作成を行った。「出入国管理統計」とは出入国在留管理庁が作成している統計資料であるが、日本国外から出入国した外国人と日本人両方の人数が集計されたデータである。外国人の国外から日本への(ないしは日本から国外への)流動実態が把握できる資料であり、この資料を用いることで出入国時での国籍別かつ在留資格別の組み合わせることで把握可能である。本プロジェクトでは出入国在留管理庁で公開されているデータ(http://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_nyukan.html)を基に在留資格ごとに国別に出入国を行った外国人に関するコロプレスマップと呼ばれる人口の濃淡図を作成した。この地図データベースを用いて2006年度から2020年度までの15年分の在留資格ごとの時系列変動を紹介する。
今回紹介する在留資格別の地図データベースは就労資格である「教授」、「芸術」、「宗教」、「報道」、「高度専門職(各4種)」、「投資・経営(2014年以前は経営・管理)」、「法律・会計業務」、「医療」、「研究」、「教育」、「技術・人文知識・国際業務」、「企業内転勤」、「介護」、「興行」、「技能」、「特定技能(1号のみ)」、「技能実習(各6種)」、非就労資格である「文化活動」、「留学」、「就学(資料上、2010年まで存在した在留資格)」、「研修」、「家族滞在」、「特定活動」の計23種類、居住資格については「永住者」、「日本人の配偶者等」、「永住者の配偶者等」、「定住者」の計4種類についてである。在留資格の内容・地図データベースはそれぞれのページに説明が記載されている。なお「短期滞在」に関しては入国者のほとんどが新規入国者である点や短期滞在の目的について、たとえば観光等より詳細に見れることから、「新規入国外国人(短期滞在・特定活動等)の入国目的」を整理のうえ作成し、別個に紹介する。
出典:出入国在留管理庁ホームページ
※本ホームページで紹介する地図データベースは「出入国管理統計」(http://www.moj.go.jp/isa/policies/statistics/toukei_ichiran_nyukan.html)を基に加工し、作成したものである。
地図データベースの見方
地図データベースの見方について、「入国_教授_2006-13年」を事例として説明します。1番最初のデフォルトで表示されるのは2006年の結果を表した地図となります。下部の選択画面で他の年に切り替えることができます。以下に地図上での項目について説明します。
地図の拡大(ズームイン)ができます。
地図の縮小(ズームアウト)ができます。
地図の全体表示(リセット)ができます。
入力した国および都市等の範囲に拡大(ズームイン)ができます。
各国の出入国者数に関わる凡例を表示することができます。
下の図2でも説明を付加していますので、併せてご参照ください。なお出国に関してはサイト表示の関係上、リンク先からの閲覧になります。年の切り替えが上部に、凡例表示も右上等異なる表示となっていますのでご注意ください。